このウェブサイトは、京都市ごみ減量推進会議 平成24年度市民公募型パートナーシップ事業助成金を受けて作成しました。

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蛍光管リサイクル協会の10年

  • 2020/01/25 (土)

2020年10月1日、蛍光管リサイクル協会は一般社団法人として設立されて以来10年になります。これを前にして、あらためてその活動をふりかえり、その成果と今後の課題を確認することにします。

1 一般社団法人設立まで
 蛍光管には微量ながら水銀が使用されています、したがって廃棄物として排出する際には他の廃棄物とは分別し、適正処理することが必要です。また、ガラスやアルミは資源として活かすことができます。
このようなことから、私が関わったNPO法人コンシューマーズ京都では、蛍光管の適正処理のシステムをつくりあげるために活動を続けてきました。
 2005年、環境省の「エコ・コミュニティ事業」として「家電販売店と協働して蛍光管の適正処理システムづくりをめざす」というプログラムが採択されました。この「エコ・コミュニティ事業」では、札幌市や北九州市などの先行事例に学んで、家庭から出る蛍光管を「まちの電気屋さん」に持ちこんでもらうように呼びかけたら市民の協力がえられるのかという社会実験をしようとしたものでした。
取組みの結果、実に多くの消費者・市民の協力がえられました。このことから蛍光管の分別回収の方法として「まちの電気屋さん」を拠点とする回収方式の可能性を確認することができたと評価し、その実現をよびかけました。
この取組みをうけるような形で、2006年10月、京都市では蛍光管の分別回収が始まりました。区役所や京都市のごみ関連施設とともに協力いただく電気店が回収拠点と位置付けられ、蛍光管の適正処理を求める市民向けの啓発がすすめられました。
他方では、事業所から排出される蛍光管は、大手の企業などでは環境マネジメントシステムの一環として蛍光管の分別排出が行われていましたが、中小企業などでは明確な分別排出が行われていないという実態がありました。事業所から排出される蛍光管の量は、家庭から排出される量に比べてとても多く、蛍光管の適正処理をめざすならば、事業所から排出される蛍光管の分別排出を求めていくことが課題として認識されたのです。
このようなことから、コンシューマーズ京都は、京都ビルヂング協会の会員事業所の協力を得て蛍光管の共同排出・回収の実験を行うことになりました。実験は、コンシューマーズ京都が回収日時を決め、蛍光管の適正処理につながる廃棄物処理事業者の収集車をチャーターし、協力いただく事業所を巡回するという方式をとりました。この社会実験は、全労済や京都市ごみ減量推進会議等の助成対象になり、事業の成果を社会的に共有する形で行うことができたことをふくめ貴重な経験になったといえます。

2 一般社団法人の設立
このような経験のうえに、2010年4月、蛍光管リサイクル協会の設立準備会合がよびかけられました。「よびかけ文書」はつぎのようにその趣旨をのべています。
コンシューマーズ京都では、これまでから「家庭からでるやっかいなごみ」としての蛍光管の適正処理の必要性を訴え、家電販売店を拠点にした蛍光管の回収やオフィスビルから排出される蛍光管の共同排出システムづくりの社会実験を行ってきました。
おかげをもちまして、この間の取組みは社会的にも注目され、いくつもの成果をあげてきました。また、そ   
の問題点や課題も具体的なものになってきました。
このようなとりくみをふまえ、あらためて蛍光管の適正処理・再資源化のためのシステムづくりをすすめるために、蛍光管に関わりのある事業者といっしょになったパートナーシップ型の組織をたちあげ、活動をすすめていきたいと考えています。
5月17日に第1回会合、ひきつづき6月17日に第2回会合、7月14日に第3回会合、8月19日に第4回会合と、準備会合が重ねられ、設立する組織の概要が固められていきました。
確認されたことは
・法人の形態としては一般社団法人とすること
・事業内容は、教育啓発、調査研究とあわせて蛍光管の共同排出・回収システムづくりをすすめること
・会員には正会員とともに、利用会員、賛助会員もみとめること
・事務局はコンシューマーズ京都におくこと
などでした。また、これらの確認内容をもりこんだ定款、役員候補者も確認されました。
 このような準備活動を経て、2010年10月1日、一般社団法人蛍光管リサイクル協会は設立され、公証人役場で定款の認証をうけ、ただちに京都地方法務局に設立登記を行い、法人としての活動を開始することになったのです。
定款には、「目的」として「蛍光管の適正処理・再資源化のシステムづくりをすすめる」ことが記され、その事業内容としては、その目的に資するため、次の事業を行うことにしています。
(1)蛍光管の適正処理・再資源化に関わる情報提供・教育啓発
(2)蛍光管の適正処理・再資源化に関わる調査研究と提言
(3)オフィスビル等から出される蛍光管の回収業務の連絡調整
(4)家庭から排出される蛍光管の地域回収の連絡調整
(5)前各号に掲げる事業に付帯又は関連する事業 
これを機に、蛍光管リサイクル協会の活動がはじまり、ご協力いただく事業所・オフィス等から排出される蛍光管の共同排出・回収の事業がはじまったのです。

3 「水銀に関する水俣条約」と国内対策の具体化
 蛍光管リサイクル協会の活動がはじまるのを前後して、国連環境計画(UNEP)のもとで国際的な水銀規制の動きが具体化しました。
このような動きに対して、コンシューマーズ京都は、蛍光管の適正処理を求めてきた経過をふまえ、2013年10月に「水銀に関する水俣条約」が採択され、それにともなう国内対策の準備にいたる一連の経過のなかで、「蛍光管フォーラム」「水銀条約セミナー」の開催などを通じて情報提供、意見交換の場を持つとともにくりかえし提言を行っています。
そして、蛍光管の適正処理のルールづくりへ京都からの発信力を大きくするために、京都市会をはじめとする京都府内自治体での「意見書」採択を求める活動に取組みました。その結果、コンシューマーズ京都が提出した陳情書の審査をうけて、2014年3月、京都市会で「「意見書」が全会一致で採択されることになりました。さらに、京都市会につづき、同じような「意見書」が京都府議会ほか8つの府内自治体の議会で採択されました。それぞれ陳情書の提出、各議会議員への要請の成果であったと評価できます。
「水銀に関する水俣条約」は2017年8月16日に発効しました。「条約」に対応する国内対策についても、2015年6月、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が成立したのをふまえ、関係する政省令が順次施行されていきました。
日本においては、水銀の採掘はすでに中止され、水銀使用製品を新たに開発することも特別な事情がない限り考えられないことから、水銀使用廃製品を新ルールにしたがい適正処理することが主たる課題になりました。
各市町村では「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」をふまえた取組みがもとめられることになり、蛍光管、ボタン電池、水銀体温計、水銀温度計、水銀血圧計など水銀使用廃製品の回収方法は、市町村の実態に即し具体化がすすめられました。
 「産業廃棄物」としての水銀使用廃製品や水銀廃棄物を排出する事業者は、従来以上に「排出者責任」が求められるということを前提に、適切な事業者に処理委託をし、排出時には「マニフェスト」管理を確実に実施しなければならなくなりました。
 このように「水銀に関する水俣条約」にともなう国内対策が具体化されていくなかで、蛍光管リサイクル協会は、コンシューマーズ京都の政策提言・情報提供活動と連携しながら、事業所・オフィス等から排出される蛍光管の共同排出・回収の事業の現場に即した普及啓発に取り組んでいきました。

4 蛍光管は新ルールで適正処理を
 2017年10月、蛍光管リサイクル協会は、「水銀使用製品産業廃棄物」についての新たな対応について見解をまとめ、「蛍光管は新ルールで適正処理を」とよびかけています。
「水銀に関する水俣条約」が発効し、廃棄物処理法の改正、「水銀廃棄物ガイドライン」(2017年6月)をふまえて、2017年10月1日から、廃水銀や水銀含有ばいじん等の特別な管理とともに、水銀を使用した製品の廃棄物(「水銀使用製品産業廃棄物」)について適正な処理がもとめられることになります。
 家庭から排出される蛍光ランプや水銀体温計、水銀血圧計などについては、すでに 「家庭から排出される水銀使用製品の分別回収ガイドライン」(2015年12月)をもとに、各市町村での分別回収の取組みの強化が準備されてきましたが、今回の「水銀廃棄物ガイドライン」では廃水銀や水銀含有ばいじん等の特別管理産業廃棄物について適正処理を求めるとともに、事業所等から排出される水銀を使用した製品の廃棄物を「水銀使用製品産業廃棄物」として取り扱う場合の考え方を示しています。
 実際に「水銀使用製品産業廃棄物」を取り扱う場合には、「水銀廃棄物ガイドライン」をふまえて実務対応を検討していただく必要がありますが、概略、以下の点についてご留意いただく必要があります。
<「水銀使用製品産業廃棄物」を排出される事業者の方は>
●「水銀使用製品産業廃棄物」については他の廃棄物と区分し混合することのないよう保管場所をつくってください。
●「水銀使用製品産業廃棄物」の収集運搬又は処分の許可を受けた事業者に処理委託契約をしていただくことが必要です。
●委託契約書を作成するにあたっては「水銀使用製品産業廃棄物」を処理委託することを明示してください。
●委託した「水銀使用製品産業廃棄物」がどのように処理されているかについても「排出事業者の責任」として注意していただく必要があります。
●「水銀使用製品産業廃棄物」の排出時にはマニフェスト管理をしていただくことが必要です。マニフェストには「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれること、その数量を記載することが必要です。マニフェストは一定期間、保存してください。
<「水銀使用製品産業廃棄物」を収集運搬または処分される事業者の方は>
●2017年10月1日より前に現に水銀使用製品産業廃棄物を取り扱っていない場合、「水銀使用製品産業廃棄物」を収集運搬または処分することを事業の範囲に含む旨、所轄庁の許可を受けていただくことが必要です。詳しくは所轄庁に問い合わせてください。
●排出事業者との間の委託契約書についても「水銀使用製品産業廃棄物」を取り扱う旨、明示してください。
●「水銀使用製品産業廃棄物」を収集運搬する場合、破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して、収集運搬するようにしてください。
●「水銀使用製品産業廃棄部」の保管に際しても、その他の物と混合するおそれのないよう必要な措置を講じてください。
●「水銀使用製品産業廃棄物」については、水銀による環境汚染防止のため、安定型最終処分場に埋め立てることはできなくなります。最終処分事業者との必要な調整を行ってください。
●「水銀使用製品産業廃棄物」の処分終了後、排出事業者にマニフェストを送付してください。
2018年、蛍光管リサイクル協会は「水銀使用製品の確実な回収・適正処理のために」というプログラムで京都市ごみ減量推進会議の助成金をうけ、これらの内容をパンフ、チラシ、ホームページなどで広くよびかけていくことになりました。また、これまでコンシューマーズ京都の主催行事として実施されてきた「蛍光管フォーラム」についても、この助成事業の関連行事の位置づけのもと、蛍光管リサイクル協会主催の行事として企画実施されました。

5 調査研究「LEDのリサイクルの可能性を探る」
 2019年、蛍光管リサイクル協会は、京都市ごみ減量推進会議助成事業として調査研究「LEDのリサイクルの可能性を探る」にとりくみました。
調査研究の課題意識は、おおよそ次のようなものでした。
 「近い将来、蛍光灯に代わり照明器具市場の主役になることが見込まれるLEDについては、現在、それが廃棄物になって排出されるとき、どのように回収・処理したらよいのか、ほとんど検討されていない。このようななかで蛍光灯の回収・処理を確実に行うシステムを維持しながら、この数年間のうちにLEDの回収・処理システムを準備しなければならない。これらの事情をふまえ、協力団体・企業と連携しながら、「LEDのリサイクル」研究会を設置し、実証的な調査研究を行うことにする。」(京都市ごみ減量推進会議への助成金交付申請書)
調査研究の手法としては、先行研究の調査をふまえ、関係者のヒアリング、現場見学、LED手分解実証事業にとりくみ、調査結果を報告する「LEDフォーラム」を開催し、関係者と意見交換を深めることとしました。
 調査研究の結果、次のような成果と課題を確認することができました。
●LEDのリサクルは技術的には可能であるが、課題は多い
今回の調査研究によって、LEDのリサクルは手分解であれ、機械破砕であれ、技術的には可能であることがわかりましたが、他方で、事業として成立させるためには課題が多いことも確認されました。なかでもいかに効率よく回収し、リサイクル事業者のところに集めることができるか、そのためのコストに見合う「売却益」がえられるかという問題はなかなかむつかしい問題です。現実的にはリサイクルコストをだれがどこで負担するのかという問題に直面することになりそうです。
●自治体にとっては財政負担になるのが現実。拡大生産者責任の議論ができるか。
家庭から排出されるLEDについては当分まとまって排出されるわけではありませんので、時間をかけて問題の解決に当たればよいのですが、いまのままであれば自治体がリサイクルに関わるコストを負担せざるをえないことになります。今回、メーカーからの意見が集約できませんでしたが、拡大生産者責任についての議論がさけられないのではないかと思われます。
●産業廃棄物としての回収・処理システムの確立はいそぐ必要がある
事業所から排出されるLEDについては「産業廃棄物」として回収・処理するためのシステム作りを急ぐ必要があります。LEDは蛍光管のように水銀がふくまれないから他の産業廃棄物と同様の処理でよいとするのか、やはり独自にリサイクルシステムをつくるべきなのか、関係者のなかでの検討を深める必要がありますが、家庭からのLEDに比べ同じものが大量に出てくる条件を活かしたリサイクルの可能性を探ることが課題になります。
●以上の課題意識もふくめて関係者の情報共有がすすんだ
今回の事業を通じて、以上のような課題意識もふくめてLEDのリサイクルについて関係者の情報共有がすすんだのがとても大きな成果であったといえます。
このような調査研究の成果をふまえ、これから京都発のLEDリサイクルシステムづくりの動きがはじまることを期待したいのですが、その際、蛍光管リサイクル協会がどのように関わるのかも課題になってきます。

6 これからの課題
設立10年をむかえ、蛍光管リサイクル協会にはどのような活動が求められるのか、蛍光管リサイクル協会自身の運営はどうあるべきなのか。
まずは、現在の会員のニーズにあった活動をくみたてていくことが何よりも大事です。
その点でいえば、現在、使用済み蛍光管の共同排出・回収に取り組んでいますが、利用いただく事業所の数が次第に増え、年2回の共同排出・回収については、現在、それぞれ2日間、のべ4日の取組みになっています。この取組みを継続していくことが基本的な課題です。
この間、使用済みの蛍光管とともに、使用済み電池の回収を希望される事業所がふえており、これらの要望にもこたえていく必要があります。
さらに、近い将来、LED照明器具の排出希望が出てきたとき、現在のシステムにその要望を組み込むことができるかどうか、関係者との協議検討が必要です。
他方で、蛍光管リサイクル協会の運営については、その活動を持続的に発展していくための条件整備が急務になっています。すなわち、そもそもの活動の発端にもどると、「蛍光管の適正処理を実現する」という社会的目的は明確でしたが、NPO法人の消費者団体が助成金を前提に始めたボランティア性の強い活動であったため、事業として自立的に発展していくための基盤づくり、体制づくりという点では十分な検討ができていなかったといわねばなりません。
蛍光管リサイクル協会がその使命を果たすために活動を維持し、さらに発展していくためには、足元を見つめなおし、会員制度から事務局体制まで、組織の基盤整備をはかることが必要です。  
設立10周年にあたり、この課題を解決することが最優先の課題といえるでしょう。

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