このウェブサイトは、京都市ごみ減量推進会議 平成24年度市民公募型パートナーシップ事業助成金を受けて作成しました。

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水銀使用廃製品の適正処理のために

水銀使用廃製品の適正処理のために

特定非営利活動法人
コンシューマーズ京都(京都消団連)
理事長 原  強

 

はじめに コンシューマーズ京都の概要

 コンシューマーズ京都の前身、京都消費者団体連絡協議会は1972年7月に結成されました。それから、31年余にわたり、ときどきの消費者問題をとりあげ、消費者運動の発展のために役割を担ってきました。
 2003年、特定非営利活動促進法において「消費者の保護を図る活動」をすすめるNPO法人が認められるようになったことからNPO法人化し、「消費者保護」と「環境保全」の二つの分野で活動するようになりました。
 コンシューマーズ京都としての「環境分野」の取組みとして、最初は「家庭から出るやっかいなごみ」(家庭系有害廃棄物)の適正処理を求める活動に取組みましたが、その活動の中から蛍光管の適正処理の課題が浮かび上がり、10年以上にわたって活動を継続してきました。
 2013年10月、「水銀に関する水俣条約」が採択されました。その国内対策が準備されるなかで、コンシューマーズ京都としても蛍光管だけでなく水銀使用製品全般を視野にいれて活動を進めています。

 

1 暮らしの中の水銀使用製品

 水銀は古くから朱色の顔料として使われてきました。また、消毒剤マーキュロクロム液に微量の水銀が使われていたように、医薬品、化粧品、農薬などに使われてきました。虫歯充填剤アマルガムにも水銀が使われてきました。
 しかし、水銀による環境汚染や人間の健康への影響などが問題になる中で、現在ではほとんど使用されなくなりました。
 このようななかで、暮らしの中の水銀使用製品といえば、蛍光管、乾電池、水銀体温計・水銀血圧計などをあげることができます。
 蛍光管にはその発光原理からみてどうしても水銀が必要とされます。したがって、蛍光管の適正処理が問題にされるようになりましたが、1本あたりの封入量がかつては50mgほどだったのが、最近では6-7mgほどに削減されています。
 乾電池も水銀使用のものが多かったのですが、90年代はじめには一部のものをのぞき生産が中止になり、現在では、水銀使用製品はボタン電池など限られたものになっています。それでも乾電池の処理にあたって水銀が回収されることがあるとの報告について注目する必要があります。
 体温計・血圧計はいまでは電子式のものになりましたが、以前は水銀を使用したものが使われていました。これらの製品が家庭の中に眠ったままであることも指摘されています。水銀体温計・水銀血圧計に使用されている水銀の量は蛍光管などに比べとても多いことから、廃棄の方法を誤るとたいへんなことになります。
 これらの水銀使用製品が廃棄される場合、適正処理されずに焼却されたり、埋立処分されたりするならば、環境汚染の原因になりうると考えなければなりません。

 

2 水銀使用製品と廃棄物処理法

 日本の廃棄物処理法のもとでは、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。「一般廃棄物」は自治体(市町村)に処理責任があるのに対し、「産業廃棄物」は「排出者」に処理責任があるとされています。
 したがって、家庭から排出される蛍光管など水銀使用廃製品は「一般廃棄物」として市町村の廃棄物行政のなかで回収・処理されています。その方法は、市町村のおかれた事情により異なります。たとえば、蛍光管の分別回収方式としては、蛍光管を蛍光管として回収しているところから、「有害危険ごみ」として回収するところ、「燃えないごみ(埋立ごみ)」として回収するところまで、さまざまな方式があります。また、回収方法としても、戸別回収、拠点回収など、さまざまなパターンがあります。どの方法がよくて、どの方法がよくないとは簡単には言えませんが、水銀の確実な回収をめざすのであれば、蛍光管を割らずに分別回収し、適正処理ルートに回しているかどうかが評価の基準になるでしょう。
 他方では、事業所から排出される使用済みの蛍光管など水銀使用廃製品は「産業廃棄物」として取り扱われます。産業廃棄物については、廃棄物処理法のもとで「排出者」の責任で適正処理することが原則とされます。具体的には、排出事業者には、水銀使用製品を適正に回収し適正に処理する事業者のところへ確実に搬送できる事業者と契約し、排出時においては「マニフェスト」にもとづく管理が求められるのです。

 

3 「水銀に関する水俣条約」採択

 「水銀に関する水俣条約」が、2013年10月10日、採択されました。「条約」の名称には、日本政府の提案により、「水俣病のような被害を二度と繰り返してはならない」との思いを込めて「水俣」の文字が加えられました。
 この「条約」のもとで、水銀の輸出入規制、水銀使用廃製品の適正処理、水銀の管理保管システムの構築など、さまざまな取組みがすすめられることになります。世界各地でみられる水銀による環境汚染や健康障害について国際的な取組みがまさにスタートラインについたといえるものです。
 「水銀に関する水俣条約」の採択をふまえ、国内対策の検討がすすめられてきました。すなわち「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」と「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が成立し、公布されました。また、関係する政省令についても準備され、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」、「水銀による環境汚染の防止に関する法律の一部の施行期日を定める政令」「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」が公布されました。
 水銀使用廃製品の適正処理のためには「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」が出されたことに注目しなければなりません。この「ガイドライン」は「市町村等の一般廃棄物を処理する者を対象として、水銀使用製品が一般廃棄物として排出される際の取り扱いに関する留意点をとりまとめたもの」とされています。
 「ガイドライン」の対象となる水銀使用廃製品としては、蛍光管、ボタン電池(補聴器、腕時計、ゲーム機等に使用)、水銀体温計、水銀温度計、水銀血圧計があげられています。
 水銀使用廃製品の回収方法としては、家庭からの排出時に破損しないように留意するとともに、他の廃棄物とは分別排出することが求められています。
 具体的には、ステーション回収、拠点回収、依頼拠点回収、移動拠点回収などの方法によるものとされています。また、運搬段階で、水銀使用廃製品が破損し、水銀が飛散・流出しないように留意すること、他の廃棄物と区分して運搬することが求められています。 
 処理段階においては「焼却処理の禁止」が方向づけられました。また、大量に処理する場合には水銀回収処理が望ましいとされました。
 他方では、水銀を含有する産業廃棄物の取扱いについては、廃棄物処理法の見直しのなかで、「廃水銀等」については「特別管理産業廃棄物」に指定され、適用対象になる施設も特定されました。それ以外の事業所から排出される蛍光管等の水銀使用廃製品については「特別管理産業廃棄物」には指定されませんが、水銀の適正処理を行うことができる事業者に処理委託をすることが求められることになります。
 現在、環境省では「水銀廃棄物ガイドライン」をとりまとめています。この「ガイドライン」は水銀廃棄物の排出・回収・処理の現場段階での実務指針になるものであり、どのようにまとめられるか、注意が必要です。

 

4 水銀使用廃製品の適正処理を

 「水銀に関する水俣条約」のもとで準備されてきた国内対策のもとで、水銀使用廃製品の適正処理を行うために、消費者・市民のなかでも、事業者のなかでも、あらためてその重要さを確認する必要があるでしょう。
 家庭からごみとして排出される蛍光管、乾電池など水銀使用廃製品については、前述の「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」のもとで、各市町村が取扱いを検討し、その方法をきめていくことになります。消費者・市民としては、各市町村が決めた方法にしたがって排出していくことが求められるわけですので、各市町村の回収方法がどのようなものになるのかに注目し、必要な意見をのべていくことがもとめられることでしょう。その場合の評価基準は、何と言っても水銀使用廃製品を他の廃棄物とは分別し、確実に回収し、確実に水銀を回収できる事業者の手により処理されていくかどうかということです。
 また、家庭の中で眠っている水銀体温計・水銀血圧計についても、この際、短時日のうちに回収しようというモデル事業が多くの市町村で取り組まれています。消費者・市民としても協力していくことが求められます。
 「産業廃棄物」としての水銀使用廃製品や水銀廃棄物を排出する事業者は、従来以上に「排出者責任」が求められるということを前提に、適切な事業者に処理委託をし、排出時には「マニフェスト」管理を確実に行うようにしなければなりません。

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